@title アダム・スミス『金持ちになれば幸せになれる、はウソなんだよ』/道徳感情論 @thumb *金持ち*になっても//*幸せ*にはなれない @thumb_label 経済学の父『アダム・スミス』 @thumb_sub 『国富論』の著者が書いた本音 @thumb_image ../assets/img/adam_smith_muir.jpg @thumb_bg #1f5f3a @layout lecture @credit 肖像: Adam Smith, The Muir portrait — Wikimedia Commons, パブリックドメイン # ガバラボ型 (教養解説): ナレーター1人、いらすとや + 引用カード。事実と出典: script/facts/adam_smith.md [bgm] ../assets/sfx/bgm_loop.wav [quote] 経済学の父『アダム・スミス』 | 金持ちになれば幸せになれる、//は*ウソ*なんだよ | 『道徳感情論』1759年 | ../assets/img/adam_smith_muir.jpg ナレーター: 「金持ちになっても、幸せにはなれない」。書いたのは、1776年に資本主義の教科書『国富論』を書いた、アダム・スミス本人です。 ナレーター(考え): なぜ経済学の父が、そんなことを書いたのか。そして、それでも彼は「金持ちを目指せ」と言った。その理由が今日の本題です。 ナレーター(笑顔): 最後に、お金の目標をどう立て直すかまで話します。 [slide] アダム・スミスとは何者か | 1723年〜1790年 スコットランドの哲学者 [point] 『道徳感情論』1759年、『国富論』1776年 ナレーター: アダム・スミス。1723年、スコットランド生まれ。グラスゴー大学で道徳哲学を教えた人です。1759年に『道徳感情論』、1776年に『国富論』を書きました。 [point] 本業は*道徳哲学*。経済は後から ナレーター: 経済学の父と呼ばれますが、本業は道徳哲学。「人はなぜ他人に共感するのか」を考えた人です。 [point] 「見えざる手」は2冊で*2回*しか出てこない ナレーター(驚き): 有名な「見えざる手」という言葉は、2冊あわせて、たった2回しか出てきません。そのうち1回が、今日の話の中にあります。 [slide] 「貧しい男の息子」の寓話 | 『道徳感情論』第4部 [image] ../assets/irasutoya/life_syusse_kaidou_man.png | 野心をもった貧しい男の息子 ナレーター: スミスが書いた寓話です。野心をもった貧しい男の息子がいました。彼は金持ちの暮らしを見て、こう思います。 [image] ../assets/irasutoya/building_goutei.png | 「あの豪邸と馬車と召使いさえ手に入れば」 ナレーター: 「あの豪邸と、馬車と、召使いさえ手に入れば、自分は満たされる」。そして一生を、そのための労働に費やします。 [vs] 若いころ=豪邸を夢見て走る | 老いてから=*ただのガラクタ*だった | ../assets/irasutoya/life_syusse_kaidou_man.png | ../assets/irasutoya/shopping_brand_goods.png ナレーター(困り): 老いて、ついに手に入れたとき。彼は気づきます。それらは「取るに足らない、便利さの道具」にすぎなかった。心の平穏は、貧しかった若いころより、むしろ失われていた。 [telop] 手に入れた瞬間、//ガラクタになる | 2.8 ナレーター: これが1759年に書かれた話です。SNSで他人の暮らしを見て走る、今の私たちと、構造は変わっていません。 [slide] 現代の数字も、同じことを言う | 所得と幸福の研究 [counter] 1 → 5 | 日本の一人当たり実質所得(1958年→1987年) | 倍 | 1.5 ナレーター: 数字で見ます。日本の一人当たりの実質所得は、1958年からの30年で、およそ5倍になりました。 [chart] hbar: 一人当たり実質所得=5, *生活満足度*=1 | 1958年→1987年の変化(1958年を1として。イースタリン 1995) | 倍 ナレーター(驚き): ところが同じ期間、生活満足度の平均は、ほぼ横ばい。「イースタリンのパラドックス」と呼ばれる、有名な結果です。 [counter] 0 → 75000 | 日々の感情的な幸福が頭打ちになる年収(米、カーネマン&ディートン 2010) | ドル | 1.5 ナレーター: アメリカの研究では、日々の感情的な幸福は、年収およそ7万5,000ドルで頭打ち。そう結論づけられました。 [point] 2023年の再検証: 頭打ちは*最も不幸な2割*だけ ナレーター(考え): ただし反論もあります。2023年の共同研究では、多くの人では幸福は上がり続ける。頭打ちになるのは、最も不幸なおよそ2割だけ、と整理されました。お金が効く人と、効かない人がいる。 [slide] ただし、スミスは「目指すな」とは言わない | 錯覚が世界を動かす [point] この「錯覚」が、人を働かせ、都市を築き、学問を進めた ナレーター: ここが、スミスのすごいところです。彼は寓話のあとに、こう続けます。この錯覚こそが、人類を働かせた。土地を耕させ、都市を築かせ、学問と技術を進めさせた。 [telop] 錯覚が、文明を作った | 2.6 ナレーター: そして、ここで「見えざる手」という言葉を使います。金持ちになりたいという個人の勘違いが、社会全体を豊かにする。だから、目指すこと自体は否定しません。 [point] お金は「幸せを足す」より「*不幸を引く*」のに効く ナレーター(考え): もう一つ。スミスはこうも書いています。「健康で、借金がなく、良心に曇りのない人に、何を足せるというのか」。お金は、幸せを足すより、不幸を引くことに効く。 [slide] じゃあ、お金の目標をどう立てるか | ここからは個人の見解です ナレーター: ここからは個人の見解です。 [vs] 足す目標=豪邸・ブランド・年収 | 引く目標=*借金・不安・我慢* | ../assets/irasutoya/shopping_brand_goods.png | ../assets/irasutoya/pose_atama_kakaeru_man_money.png ナレーター: お金の目標を、「足す」から「引く」に書き換える。豪邸や年収ではなく、借金をゼロにする。生活防衛資金で不安を消す。我慢の回数を減らす。 [image] ../assets/irasutoya/happy_family.png | 「引く」が終わったら、残りは時間と人に ナレーター(笑顔): 「引く」が終わったあとの余りは、モノではなく、時間と人に使う。寓話の息子が最後に欲しかったのは、豪邸ではなく、若いころの心の平穏でした。 [image] ../assets/irasutoya/money_toushi.png | 投資は「不安を引く」ための道具 ナレーター: 投資も同じです。「金持ちになる」ためではなく、老後の不安を引くための道具として、減らせる額で。目的が変わると、暴落のときの心構えも変わります。 [quote] 経済学の父『アダム・スミス』 | 健康で、借金がなく、良心に曇りのない人に、//何を*足せる*というんだ | 『道徳感情論』第1部 | ../assets/img/adam_smith_muir.jpg ナレーター: スミスの言葉で締めます。「健康で、借金がなく、良心に曇りのない人に、いったい何を足せるというのか」。 [slide] まとめ | 道徳感情論 [point] 金持ちになっても、幸せは足せない(貧しい男の息子) [point] でもその錯覚が、社会を豊かにしてきた [point] お金は「足す」より「*引く*」に効く。借金・不安・我慢 [point] ※一般的な情報で、特定の金融商品を推奨するものではありません ナレーター: まとめです。金持ちになっても幸せは足せない。でもその錯覚が社会を豊かにしてきた。だからお金は、足すより引くために使う。借金、不安、我慢を減らす。 ナレーター: これは一般的な情報で、特定の金融商品をすすめるものではありません。 [telop] あなたのお金は、//何を「引く」ため? | 3.0 ナレーター(笑顔): あなたのお金は、何を引くためのものですか。コメントで教えてください。 [wait] 0.6